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進化した骨董品 買取

全般的に見て、女性よりも男性のほうが、言いわけが多いようです。 以前、Y氏が雑誌に書かれた記事のなかで、Mの「革のトランク」という、短編の話が出てきます。
K自身を投影させたこの短編の主人公Sは、建築家の仕事に失敗して東京に逃げ、母病気の報に帰郷することになるのですが、その際、210円という全財産のうちのお金をはたいて革トランクを購入します。 しかし、なかに入れるものなど何もないので、親方に頼んで、板の上に引いた不要な絵図を、ぎっしり詰めて帰郷すると、村長である親父がそのトランクを見て苦笑するといったお話です。
花巻に帰郷したK自身のカリカチュア風刺画であるこの短編からは、「雨ニモマケズ」の求道的な詩人のイメージとは別に、20円もする草トランクを愛し、一張羅の麻服を愛用する伊達者で、酒落者だったKの一面を覗くことができます。 Y氏は、Kにかぎりない親しみを感じ、もし、Kがいまの東京に暮らしていたなら、M柄のLのトランクを選ぶのではないかと結んでいます。
男性にも、もっとLの鞄をひとつの製品として知ってもらい、先入観や思い込みなく持ってもらいたいと思います。 そのためにも男性特有の言いわけを探しあて、なくすことがひとつの宿題だと考えています。
いまでは日本人の女性の4割がL製品を持っているといわれていますが、このように日本市場で多くの人に受け入れられるまでには、数々のヒット商品・顧客層を広げるのに貢献した製品がありました。 大きな転機は、1986年に発表された「E」ラインでした。

しかし、このE、実は、発売前にフランスから製品開発スタッフが来日して、試作品を前に製品コンセプトを説明したときの日本サイドの反応は、いつになく厳しいものだったのです。 Mとは大きく異なるEの個性赤や緑といった鮮やかな色彩、また、革であることが果たしてLのMの世界とうまく融合するのだろうか、という懸念があったからでした。
若い店舗スタッフからは好意的な意見もありましたが、試作品の質があまりよくなかったこともあり、長くLにかかわってきた社員ほど、ある種の抵抗感を感じたようです。 しかし、そうした不安を吹き飛ばすかのように、発売後すぐに人気に火がつきました。
マスコミ各社がこぞって話題の新製品として大きく取り上げると同時に、店頭でも売り上げが好調で、あっという聞にEの人気は大きな流れとなっていました。 Lの急成長は、Mという重い伝統と、偉大すぎるともいえる成功体験を乗り越えたときに始まったのだと思います。
そのほかにも、お客様の層を広げるヒット商品がありました。 87年に登場したスポーティーなショルダーバッグ「S」は、発売時に全国の店舗で、開店前から長蛇の列ができました。
93年には「A」が大流行しました。 Aは、1920年代にココ・シャネルがLヴィトンに特注し愛用していたパツグのデザインをもとにつくられたものです。
広告を一切行わず、顧客へのDM男性ファンの獲得に成功した「ヲイガ」ラインと雑誌のパブリシティーのみでしたが、店によっては、予約しても一年待ちといった人気でした。 Eという革製の商品が発売された後「やっぱり、Mは丈夫で長持ちするから」と、能性が再評価されるということにもなりました。
94年には、初めて男性向けに開発された「タイガ」ラインが発表されました。 ビジネスエリートをターゲットにしたこの製品は、新たなLファンを獲得することができました。

それまでも、男性向け商品はありましたが、「Lには男性用の商品がない」という言いわけを取り除くことができたのです。 1854年、木箱製造職人であった初代Lが、パリのオペラ座に近いヌーグ・デ・カプシーヌ通り4番地に旅行鞄店を聞いたのが、L社の創業です。
Lにとって最初の挑戦が、当時は、旅行鞄専門店といった類のものはなく、専門店を構えるということでした。 正式には「LM」という社名の「M」とは、「トランク職人」のことです。
Lは、王室や貴族階級が旅行に出かけるときに、当時「クリノリン」と呼ばれた大きく広がったドレスなどの衣類を収納する木箱をつくっていました。 この当時の木箱といえば、乗合馬車用の蓋が丸みを帯びたトランクでした。
それは、雨水が流れやすいようにという配慮からできた形状でした。 素材は、「グリ・トリアノン」と呼ばれるグレーの無地の、革よりも軽いキャンパス地にニスを塗った防水性のあるものでした。
その後、登場した汽船や汽車といった新しい輸送手段に合わせ、丸みのあった蓋を平らなものにし、積み重ねられる形を考案します。 荷造職人として経験を積んできた初代のこという人物が、近代的で合理的な考えを持っていたことがうかがえます。
その後、客船や汽車の客室にそのまま持ち込めるトランクを考案しました。 長旅に必要なものを整理して収納できるこのトランクの出現は、旅の常識を一変させるもので、大きな人気を博し、トランク職人と創業者、Lとしての名声は確固たるものになりました。
さらに、自動車や飛行機という新しい旅行手段の出現に合わせて製品を開発してきました。 常に時代の進歩や変化を見る日を持ち、時代が必要とするものを実用化していく感性と技術がLの製品開発の原点です。

「旅」をテーマにした創業者の精神を感じます。 1987年、製品開発に新たな展開が生まれます。
LMHが誕生した翌年には、L社がM社と合併し、LMHが誕生すると、ヌメ革製の最高級男性用鞄「N」の登場とともに、複数のアーティストとのコラボレーションによって、時計やスカーフ、万年筆、ボールペンを発表しました。 ことしては、初めての鞄以外の製品です。
「創造の旅路」と名づけられたこの新しい製品は、パリ、ニューヨーク、東京の三都市で同時に発表されました。 時計と万年筆、ボールペンは、パリ万博のために建設された旧オルセー駅をオルセー美術館として変身させたイタリア人の女性建築家兼デザイナー、Gによってデザインされました。
スカーフは、I、J、S、Sという世界的に有名な建築家やアーティスト5人に依頼して、「シルクロード」をイメージに26点のコレクションがデザインされました。 これらのシリーズは、商業的には大きな成功を収めるまでには至りませんでした。
企画そのものが、革新性をアピールする絶好の機会となり、大成功を収めることができたプロジェクトでした。 このときの経験が、その後のより大胆な新製品開発、アーティストとのコラボレーションへの布石となっていくのです。
Mをめぐる挑戦M・キャンパス誕生100周年を迎え1996年、記念の特別限定製品としM・キャンパスを使ってバッグをデザインしてもらいました。 参加したデザイナーは、A、A、K、S、H、Sです。
M・キャンパス誕生100周年を迎えた1996年は、Lが持つ伝統やクラフツマンシップとともに、次の時代に続く革新性をアピールする絶好の機会だった。 7人の個性的なファッションデザイナーと組み、記念限定製品を発売した。


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